戦前に上海だかで知り合ったイタリア人と結婚した日本女性。
たしか日本の姓はコヤノさんと言ったと思うが、国籍がイタリア
だったのでそのままローマに残留していた。
戦後日本の外交代表部がローマに出来た時、代表部から
頼まれて、たまに訪伊する日本人の世話をしていた。
当時の海外旅行はやむをえない公用の者にしか認められ
なかったので、尋ねて来る旅行者は政府の役人や大会社の
社長クラスが多かったが、何分粋も甘いも知り尽くしたような人柄
なのでたいへん喜ばれていた。
そのうち留学生もやってくるようになったが、何分1ドル 360円の時代、
そのうえ持出せる外貨の額にも制限があって、殆どの者が苦労していた。
そんな苦学生達の面倒も良く見て、自分の家に留めたり、食事を
つくってやったりし、皆から感謝され、慕われていた。
恐らく今はもう亡くなっていると思うが、娘さんは生きていると思う。