日本と同じくイタリアでも四季折々、それぞれの土地で季節の美味しい物が
食べられるが、秋は秋で懐かしい味を思い出す。
まづ栗、時期的のはもう過ぎてしまったが、トスカーナのアペニン山脈寄りの
ムジェッロ地方を走っていると、道の両脇に栗がイガごとうずたかく積もって、
いかにもイタリアの栗の三大集散地の一つだと感じさせる。
9月の末頃、雨が降ってそのあと晴天が二、三日続くとポルチーニ茸が
ニョキニョキと生えてくる。イタリア中で採れるが、トスカーナ産が一番良質だと
言われている。レッジョ ディ カラブリア州のは大型で名前も違う。
下触りが独特で香りが良い。椎茸と同じように乾燥して料理にも使える。
かってトリノのレストランで同僚がサラダまで全てこのポルチーニの生料理を注文し、
少し分けてもらって食べたことがあったが、料理人の腕もよかったのか
どれも絶品だった。僕はミラノのさるレストランで、笠にたれをつけ、炭火でジックリと
焼いたのが好きだ。タレは夫々の店の秘伝。焼いている時にこげめがついたら駄目
なんだそうだ。だから注文してから30分位は待たされる。
ポルチーニと同じ頃オーヴォリという茸も出る。黄色い小さなものだが、産出量が
少ない為か貴重品扱いで、値も高い。普通サラダにして食べるが、味はそれ程ではない。