12月31日。ナポリ二戻ってソレントで聞いたホテルに行ったらガラ空きで、
ナポリの町と海が一望出来る部屋をくれた。真正面にヴェスヴィオ火山が聳え、 下の公園では若い男女がベンチで抱き合っている。 そんな自然と人が織り成す光景をしばらく眺めていたが、そろそろお腹が 空いてきたので夕食を取りに町へ出かけてビックリ。レストランが全部閉まって いる。大晦日の夜は12時から開けるので夕方から夜にかけては閉めて いるのだそうだ。やっと一軒のホテルでありあわせの物で食べさせてもらったが、 サテ帰ろうと表に出て又ビックリ。店も全部閉めているし、人通りも殆どなければ 車も通らない。開いているのは花火や爆竹を売る屋台だけ。 わけが分からないまま走っていたら、周りのマンションから花火や爆竹が ドンドン降ってくる。車目掛けて投げつけるのだが、僕の車は屋根の開く部分が ビニール製だから危なくってしょうがない。ほうほうのていで、ホテルに逃げ帰る 途中、一軒の花火の屋台が爆発した。花火を買った奴がその場で火を点けて 屋台にほうりこんだからたまらない。木っ端微塵になって後にはカンカンになった 親爺が拳を振り上げて怒鳴っているばかり。やった連中はとっくの昔に逃げて しまった。 12時近くになると方々でガチャン、バチャンと音がしだす。一年のうちに壊れたり 使わなくなった瀬戸物を窓から通りに放り出しているのだ。この風習、法令だか 政令だかで一応禁止されているのだが、誰も言うことを聞かない。ローマ辺りでは これだけだが、ナポリではついでに爆竹を鳴らしたり、花火をあげるから、大変な 騒ぎになる。最近見て来た人の話しでは音と地響きで停めてある車の盗難予防 装置が鳴り出したそうだ。5分もしないうちに爆竹の煙でナポリの町は見えなくなる。 煙幕をはったみたいだが、やがてその煙は風に流されて、海の方に棚引いていく。 素晴らしい光景だが、下の公園の男女はそんな騒音の中、何時間も抱き合った ままだった。
by pincopallino2
| 2010-10-07 12:58
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