イタリア人と家族ぐるみで伊豆の温泉に行ったことがある。
部屋は勿論別々だが夕食は僕達の和室で一緒に楽しんだ。
ローマっ子の奥さんが僕の残した魚を食べたいという。
何気なく肉用のナイフとフォークで彼女のお皿に移したら
急に要らないと言った。理由を聞いたら魚は魚用のナイフと
フォークを使わなければいけない。魚は腐りやすいが、
魚用の食器は銀だから、悪かったり、毒が入っていたりすると
すぐ色が変わると教えてくれた。肉用の食器を使った魚は
だから食べないというのだが、自分が食べる時に魚用の
ナイフとフォークを使っても同じだと思う。魚を新鮮なまま
輸送出来なかった頃の言い伝えがまだ残って迷信化して
いるのだろう。