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心に残るレストラン 63
フィレンツェの東約20キロ のポンタッシェーヴェは葡萄酒の産地で、
有名なルッフィーノ社の大きなワイン貯蔵庫がある。 地下の一部が広い部屋になっていて、
調理場も完備しているから、事前に頼んでおけば食事も出来るので3回程行ったことがある。
何時も20名位の団体連れだった。 特にルッフィーノ社のシェフが来て造ってくれるので
シェフと倉庫番夫婦の3人でサービスしてくれるお料理も美味しかったが、圧巻はワイン。 
 前菜、パスタと進んでいよいよメインとなると、ルッフィーノ自慢のお酒が出るが、お酒の
時は今までのシェフに代わって、縦じまの囚人服みたいのを着た倉庫番の爺さんが主役になる。
爺さんはまず、並んだ瓶を一本づつ手にとって中身を見、保存の良くないものは栓も抜かずに
捨ててしまう。 残ったものだけ栓を抜いて色を見、匂いをかいで気に入らないものを振り落とす。
上記の作業で結局10 本の内2,3本は捨てられてしまうが、捨てに行くのは高い調理帽を被った
シェフ。 爺さん、粗末な身なりながらワインの倉庫番をやっているだけあって余程ワインに
精通しているらしい。 
  さて酒の良し悪しの鑑定が終わるとデキャンター。 蝋燭に灯を点けて不純物をチェックしながら
ガーゼを通してワインを別の容れ物に移していくがまだ底の方に2,3センチ残っている瓶も
津ててしまう。 瓶の底に沈んでいる滓ヲ入れない為だ、その間にお内儀さんは積み重ねてある
グラスを一つづつ同じワインで洗っている。 水で洗っただけでは水の匂いや味が残っていて
本当のワインの味がわからないのだそうだ。
  特別だと言って最後に飲ませてくれた30年もののデザート ワイン〔ヴィーノ サント)は
素晴らしく、いまだに忘れられない。
  その後ルッフィーノはこのサーヴィスをやめてしまったようだ。
by pincopallino2 | 2012-06-27 16:54
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