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ミューオリンズ  その3
  ニューオリンズに行ったら必ず入るのがプレザヴェーション ホール。
というより此処が目当てでニューオリンズに通ったのかもしれない。
デキシーランド ジャズのメッカだが、汚い半分壊れかけたような
木の小屋だった。入口にがんばっている小母さんに入場料
(はじめはたったの1ドルだった)を払うと、さしずめ昔の日本の八百屋さんが
天井からつるした笊に売上金を放り込んでいたような感じで箱に突っ込む。
その後ろは短い廊下。片隅に埃まみれのレコードが並んでいて、
いつもそのうえに猫が寝ていた。ホールには廊下の途中から入るが、
ドアなんてない。かすかにトイレの臭いが漂う狭い室内はガランとして
ベンチが4,5脚おいてあるだけ。ベンチに座れない客は立ったり、ベンチの前の
床に胡坐をかいて聴く。天井には穴が開いている。
 演奏ステージも同じで、床より10センチ位たかいだけ。隅にホンキートンキーの
ピアノが置いてある。蓋なんかとれちゃって、蜘蛛の巣が張っていたりする。
演奏するのは黒人のおじいさんやおばあさん達。かっては世界中を演奏して
歩いて、老後を故郷のニューオリンズで過ごしているような人たちだ。
仕事というより好きでやっているような感じ。でも彼らの演奏は素晴らしい。
一回入ったらいつまでいても文句は言われないから、いつも最後まで
聞き惚れていた。演奏者が年寄りばかりのせいか、プリザベーションが
終わるのは比較的早い時間だった。楽器を抱えてトボトボと家路につく
年老いたプレーヤーが時々立ち止まって、他のデキシーランドをやっている
店をのぞいている姿も風情があった。このあたりにはおじいさんとおばあさんが
バンジョーを弾きながら歌うケージャンなんて音楽もあって楽しい所だったが、
去年の台風でどんなになってしまったのだろう。下町は土地が低いので
お墓も宙に浮いてるような感じで造ってあったから、たぶんプレザベーション
ホールも壊れてしまっていると思う。
by pincopallino2 | 2008-09-26 15:05
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