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日本人逃避行 31 米軍監獄内の囚人達
 前述の用便用のバケツへの排尿は良いとしても、洋式でもなく、和式でもない
中途半端なバケツに中腰で、しかも人前で排便することは我々にとって一番過酷な
罰であった。バケツの掃除は毎朝交替でやらせられたが、ある時食当たりの為
全員が夜中に腹痛で下痢を起こし、一個のバケツでは不充分で、しかも監房内は
臭気に満ちて夜明けが待ち遠しいこともあった。又日中たまに態度の穏やかな
看守兵が中庭の出口に近い唯一の便所(用便バケツの洗い場所)の使用を認めた
時も、他の看守兵はせきたてたり、時には扉を足蹴にして”Let’s go”と怒号した。
 ヨーロッパの短い夏も過ぎ、朝晩冷え込む時期に暗い監房に閉じ込められ、
コンクリートの上に腰を下ろしたり、立ち続けているので下痢勝ちになり、痔疾持ちは
悪化に苦しんだ。毎日2乃至3回、監房内の掃除を命ぜられたが、扉を閉じたまま
箒で掃く程度であった。開放された唯一の小窓からは砂埃が昼夜吹き込み、監房内の
空気は勿論、毛布、衣類も埃くさく、冷えた夜風も加わって、呼吸器を害するものも
多く、精神的重圧に加えて肉体的苦痛と衰弱が日に日に加わった。
by pincopallino2 | 2009-03-20 11:28
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