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日本人逃避行  33  米看守兵のたかり
 入牢した頃、夜中に酒気を帯びた下士官がやってきて判りにくい米語で嫌がらせと脅しの
言葉を浴びせて就寝を妨げられることもあり、又他のある下士官は我々に向かって”お前達は
Prisoner of Warとして軍法会議にかかり、銃殺の判決を言い渡されて所持品は全部没収
されるだろうが、自分は近々日本に行くので、お前たちが遺族に手渡したい品物があるなら
自分が預かってやる”と親切ごなしに物品を強要された。一行は度々の没収で洗面道具以外の
所持品もないので誰一人応じなかったが、W氏はTosioという名前を読み違えられて東條
(Tojo)の親戚かと質問され、同氏が万が一ソ連に捕らえられて極寒の雪深いシベリア送りも
あることを慮って新調し、着用していたスキー靴に目を付け、せがまれて困却した。
 爪が伸びたので「爪切」を頼んだが、爪は噛み切れと返答され、煙草は入牢の際全部没収
されたので、他の米囚なみに支給を願ったが、入牢中一本も与えられず、喫煙者には厳しい
処罰であった。
by pincopallino2 | 2009-03-24 13:15
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