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日本人逃避行 42  帰国
 11月26日、General George Randle号に乗船してシアトル港を出発し、
日本に直航することになった。同船は大西洋を渡った時のSanta Rosa号同様
大型旅客船を軍用輸送船に改造したものであったが、戦争が終わり、太平洋
地域に駐屯している米将兵を本国に送還する為極東に向かうので、
サンタ ローザ号と違い、船員以外の乗員は我々とその引率関係者だけ。
船内は閑散としていた。船は太平洋の北の短い航路を直進して先を急いだが、
しばしば台風に会って大揺れを続けた。船中で米将校から焦土化した東京周辺の
航空写真を見せられ、帰国後辿りつく先がどんな状態かを知って、上陸後
どうするか、又焦土の中でどうして生きて行くかをお互いに話し合った。
 12月6日、青空の下、水平線上に富士山を見てやっと日本に帰ったと言う
万感の思いを抱いて浦賀に到着。腹膜炎が悪化して衰弱していたW氏の長女は
米兵の担架で、W氏自身も米兵の肩をかりてタラップを降り、他の者も下船して
家族、友人たちの出迎えを受け、それぞれの家、家が焼失した者は仮の宿に
帰って行った。
by pincopallino2 | 2009-04-03 11:29
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